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学習者中心の教育に基づいた学習評価と学習成果 (後編) | ターンイットイン

The Turnitin Team
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Christine Lee
Christine Lee
Senior Marketing Writer

前編では「学習者中心の教育」に関して理解を深めました。学びには評価がつきものですが、それは学習者中心の教育においても同様です。学習評価は指導と学びが交わる重要な接点で、学習評価を通して教員は学生の学習状況を把握し、学生はさらなる学びに向けてフィードバックを受け取ります。

後編では、「学習者中心の学習評価」に着目し、学習者中心の教育のなかでの学習評価の実施が、いかに学生のスキルの実践や成長、個々の強みを反映した評価を実現につながるかご紹介します。

学習者中心の学習評価とは何か?

学習者中心の学習評価は、教員と学生が互いに合意した目標に向かって進むなかで、学生自身が自分の長所と短所を自覚でき、教育機関や授業にとって貴重な教育方法の一つです。学習パフォーマンスのための客観的な水準を定めると、成績向上だけでなく、学生が学力向上に主体的に取り組む効果も期待できます。学習者中心の評価では、学生に自分の成果物を批評させたり、成長した点や改善が必要な点を見つけさせたりすることで、学生自身が自分の学びの軌道に主体的に関与するようになります。学生に学びの主導権をもたせることで、学生は持続可能な自己統制型学習を促進できます。合意した目標へ責任をもち、自己の成長に積極的に関与する学生は、そうでない学生に比べて多くのことを学び、高いパフォーマンスを達成する傾向があります(Zimmerman & Schunk 2011)。

また、学習者中心の評価により、教員はさまざまな学生集団ごとに目標を設定することができます。どのような目標がモチベーションを喚起し、意味のある学習を促して学習成果の保持につながるかを考慮することができます。また、教員と学生が合意のうえで特定の学習目標をシラバスと学習課題に組み込むプロセスを通じて、クラス全員がその目標を理解することにつながります。

学習者中心の教育のなかで、どのように学習評価をするのか?

学習評価とは、学習の最終到達地点ではなく、途中のチェックポイントです。そこでは非常に重要な情報交換が行われます。教員にとって学習評価とは、学生の学習の足りない部分を特定し、今後のカリキュラムや指導に生かす手段です。学生にとっては、次のステップに進むための指針を得る機会となります。学習評価なくしては学生の学習状況を把握することはできないでしょう。学習評価が指導と学びの架け橋になるのが理想です。ここでは、学習者中心の教育のなかで学習評価を実施する方法を紹介します。

1.明確な学習成果学生が身につけるべきスキルや知識、能力を反映した学習成果を明確に定義することから始めましょう。これらの学習成果は、学生が授業で求められている期待値をきちんと理解できるように周知する必要があります。

2.形成的評価:学習過程のなかに形成的評価の手法を取り入れましょう。形成的評価は、学生に継続的なフィードバックを与えることで、学生が自分の成長をモニターし、必要な調整を加えられるようにするものです。形成的評価には小テストや自己を振り返るためのエクササイズ、相互評価、授業内の話し合いなどがあります。

3.オーセンティック評価:実世界の状況や課題に関連したオーセンティック評価を実施しましょう。オーセンティック評価には、プロジェクトや事例研究、プレゼンテーション、パフォーマンス、ポートフォリオ、シミュレーションなどがあります。これらの評価を通して、学生は学んだことを意味のある方法で応用し、自分の理解力やスキルを表現する機会を得られます。

4.自己評価と振り返り:学生が自分の学習を振り返り、自己評価するよう促しましょう。学生が自分の成長を評価し、改善点を特定し、さらなる学びに向けて目標を設定するための方法と考え方を提示しましょう。そうすることで学生のメタ認知を育て、学生自らが学びの主導権を得ることができるようになります。

5.学習評価の個別化:学生はそれぞれに異なった学習ニーズや長所、興味をもっていることを認識しましょう。さまざまな出題形式を取り入れた、柔軟な試験を作成してください。作文課題や口頭発表、マルチメディアのプロジェクト、実践課題など、学生が自分の理解を示せるようにさまざまな課題や試験形式を用意しましょう。そうすることでさまざまな学習スタイルに対応し、知識の幅と理解の深さの両方を測定できるため、学生の能力をより正確に捉えることができます。

6.協働的な評価課題:学生が協力して課題解決や情報分析、プロジェクトに取り組める協働的な評価課題を取り入れましょう。協働的な評価はチームワークとコミュニケーション能力、批判的な思考力の育成につながります。学生同士で交流し、協力するため、全体的な学習体験の向上にもつながかります。

7.継続的なフィードバック:学習評価のプロセス全体を通して、タイムリーで建設的なフィードバックを学生に提供しましょう。フィードバックは具体的で、次にすべき行動につながり、長所と改善点の両方に焦点を当てたものであるべきです。教員からのフィードバックや学生同士のフィードバック、自己評価を組み合わせて、学生の成長を包括的に捉えましょう。

8.学習評価に対する振り返り:学生が評価のプロセス自体を振り返る機会をつくりましょう。評価結果が目標とどのように合致しているか、自分の能力を正確に反映したものであるか、どのように改善できるかなどを考えるよう学生に促します。このような振り返りを通して学生の自覚が高まるとともに、教員は評価設計について学生からの貴重な意見を得ることもできます。

以上の方策を取り入れることで、学習者中心の教育における学習評価が、学びを促進し、学生の学習への関与を高め、個々の学生の成長と発達を支えるためのツールとなります。さらに、学習者中心の教育が、「学習者中心の評価」という新たな可能性に変わります。

学習者中心の評価を効果的に実現するための方法として以下の3つがあります。

1.明確な目標を設定する:評価課題のパフォーマンス目標とその定義、測定方法について、教員と学生が互いに合意します。評価課題では「定義する」「つくりだす」「論じる」「解決する」といった動作動詞が頻繁に使われます。目標は客観的な正解・不正解にとどまりません。学生に求められるのは、プロセスの説明や学習した概念の応用ができるようになることです。例えば代数では、正解の答えだけではなく、その解答を導き出したプロセスを提示し、説明することが求められます。ルーブリックは有効な評価ツールで、具体的かつ包括的な目標設定をサポートするとともに、学生が基準や期待を理解する助けにもなります。

2.進捗状況をモニターし、測定する:学生は各課題における自分の成果物を、期待されている水準に客観的に照らし合わせ、「自分はXを論じられているか?」「Yを解けているか」「解は正しくても、その解法は信頼できるか?」といった厳しい質問を自らに投げかけることで、自分の成長とパフォーマンスをモニターします。このようにして、学生は自分の継続的な学力向上に何が必要かに気づきます。

3.修正する:この段階では、学生と教員が、学習の進捗状況や効果的・非効果的な学習方法などを考慮しながら、事前に合意した目標を達成するための道筋を話し合います。このステップは、パフォーマンスの測定と学習方法の評価、モチベーションの測定を統合したものです。

学習者中心の評価と、従来の学習評価の違い

学習者中心の評価では、学習者は授業やプログラムを進めるなかで、習ったスキルを実践したり概念を復習したりすることができます。教員や教育機関、自治体にとっては、学習者中心の評価のおかげで、総括的評価では見逃すおそれのあるフィードバックを学生に提供することができます。学習者中心の評価を長期間実践することで、知識の不足箇所や効果的な指導方法、学習者ごとの最適な学習方法を明確に把握できるようになります。教育困難校で学習者中心の評価が学力向上に役立つのはこのためです。学習者中心の評価をデジタルの評価プラットフォームと組み合わせると、教員はカテゴリー分析により学生のパフォーマンスをモニターするだけでなく、学生が自分の学習の進行状況を理解するよう支援することができます。標準テストや期末試験、期末プロジェクト、期末レポートなど、評価のためだけに設計された公式の試験は、昔ながらの総括的評価の代表例です。これらの伝統的な学習評価は学びを評価しますが、必ずしも、さらに向上するためフィードバックを提供したり、個々の学生の学習ニーズを考慮したりするものではありません。従来の総括的評価では、通常、既定の水準に照らし合わせて評価するのに対し、学習者中心の評価はあらかじめ決めた包括的な一連の目標に応じて能力を測定します。また多くの場合、学習者中心の評価は、問題の答えだけでなく、どのように解決したかという学生の思考プロセスも測定します。学習者中心の評価のこのような特徴のおかげで、学生は自分なりの信頼できる学習法を発展させることででき、高次の思考力の向上につながるのです。

学習者中心の評価の種類

学習評価は、ミラー氏が言うところの「タイムリーで適切な指導」を提供する機会であり、それにより、学習者中心の授業での学生参加を促しますMiller, 2015)。では、学習者中心の評価とは具体的にどのようなものなのでしょうか?相互評価──相互評価の手法を活用すると、あらかじめ決められた期待値と建設的な批評の水準にもとづいて、学生は互いにフィードバックを与え合うことができます。この種の評価は、仲間の期待に応えたいという学生の欲求をうまく利用しており、学生は共通の目標達成に向けて互いに説明責任を負います。こうして、相互評価は学習意欲を引き出し、学習効果を維持します。相互評価については多くの研究があります。アレクサンダー・W・アスティン博士は大学生の学習に影響を与える要因に注目し、「認知的・感情的な発達に影響を与える最大かつ唯一の源は、学生の仲間集団である……それはもっとも大きな求心力をもつ」と結論づけましたAstin, 1996)。ターンイットインのFeedback StudioにはPeerMarkという相互評価の機能があります。

学習プロセスを示すポートフォリオ──学期やプログラムを通じて収集するポートフォリオは、学生が初心者から熟練者にまで成長する、学習の軌跡を表します。1回きりの課題やテストでは、学習の一場面しか見られません。継続的な作業、進捗、学習のプロセスを可視化することで、学生の学習意欲と自己管理能力の向上につながります。そのためには、課題をうまくやりとげたことがパフォーマンス目標の達成にいかに寄与したかを振り返らせると有効です。

展示・発表──この方法により、勉強の集大成を発揮する瞬間への期待を高めることができます。プレゼンテーションのような発表そのものは、通常は総括的評価ですが、その準備段階では継続的な評価やフィードバック、修正が発生します。最終的な山場をつくることで、目標達成に向けて学生のモチベーションを高められます。また、短答式問題や小論文のような従来型の出題形式も学習者中心の評価に変えることができます。例えば、授業のなかで学生が中心となった話し合いに焦点を当てた小論文問題や、学生自身の個人的な経験を分析に生かすような問題を考えてみてください。授業内容や学生に特化した問題を作ることで、指導と学びを結びつけるだけでなく、学生の意見や学びが重要であることを学生自身に実感させることができます。最後に、昔ながらの総括的評価を、教員と学生の双方にとってより形成的な経験になるよう変える方法があります。期末試験には変化の可能性はそれほどありませんが、学期途中の試験は、タイムリーで具体的かつ実行可能なフィードバックを提供することで、形成的に変えることができます。そのようなフィードバックは学生の学びの一部となる、貴重なものです。

学習者中心の評価を実現するために

ウォルボード氏とアンダーソン氏は、著書Effective Grading:A Tool for Learning and Assessment in College(効果的な成績評価:大学における学習と評価のためのツール)』において、成績評価と評価設計の要素をまとめています。学習者中心の教育に合致する提案として、以下の要素が挙げられます。

学生に何を学ばせたいかを考える:効果的な成績評価を実践するには、教員が「学期の終わりに学生にできるようになってほしいことは……」と自問することから始めること。

・もっとも重視するものを測定する課題やテストを選ぶ:測定したい学習内容を学生から引き出せる課題や、学生の興味とやりがいを引き出す課題を選ぶこと。学生同士の協働を取り入れること。

・学期を通し授業計画を立てる:教員が何を教えたいかではなく、学生に何を学んでほしいかから始めること。

・試験や課題が適切で、実現可能かチェックする:課題が学習目標に沿っているか、作業量は教員自身や学生にとって現実的かを確認すること。

・学生と協力して目標を設定し、達成する:学生自身に、授業のなかでの個人目標や学習目標を設定させ、その目標を達成するための戦略を立てるようにすること。

・課題と試験の指示を明確に示す:主要な課題や試験ごとに、試験問題を注意深くよく考えて作成すること。(Adams, p. 4-5

学習者中心の教育と評価に適した科目は?

学習者中心の評価の本質は、課題や試験の指示を明確にするのに役立つことです。学生は何をするよう求められているのかを知らされるだけでなく、どのように、なぜそれが重要なのかも教えられるからです。このため、学習者中心の評価は、その内容が主観的であれ客観的であれすべての科目、すべての学習環境にひとしく適応します。詩を書くことでも方程式を解くことでも、教員が学生に習得させたい知識や技能をテストし、すべての関係者が学習と成長に焦点を当てているかぎり、学習者中心の評価に価値があります。

まとめ

学習者中心の教育とは、学習過程のなかで、学生のニーズや関心、能動的な参加を優先する教育アプローチです。学習者中心の教育や学習評価を通じて、学生は、社会的スキルや共感力、共同体意識を身につけることが期待されます。つまり学習者中心の教育は、学生を能動的な参加者、知識の創造者として捉え、かれらに学びの主導権を与えることなのです。変化し続ける世界で活躍するためのスキルと考え方を養うのに必要なアプローチであることを改めて認識し、教育活動での実践をお勧めします。