人口知能(AI)に関する議論が盛んな今、あまり馴染みのない用語を耳にする場面も増えてきているのではないでしょうか。そこで、 AIへの理解を深めるためにも教育や主流メディアで使用されている用語を確認しておきましょう。ただし、 これらの用語の多くは技術そのものの発達に伴って変化するため、 ここで定義したものが半年後には別のものとなっている可能性が高いことにご注意ください。
Turnitinでは、学生、教員、イノベーターらと密接に協力し、 AIによる文章自動生成が学習環境に与える影響の理解に取り組んでいます。 私たちはAIライティングツールを授業で有効活用する方法や悪用されうる状況について早急に検討してきました。たとえば、 AIライティングツールのひとつであるAIによる言い換えツールは、学生にとって簡単な解決策となり、”言い換え(パラフレーズ)” という大切なスキルの習得を妨げてしまうという理由で、学習に支障をきたすことがあります。
AIは常に進化を続ける分野であるため、その進化について議論し、理解を深めることが重要です。 AIの要素を教育現場に関連させて議論を進めれば、学生や教員がAIのメリットと課題、可能性をよりよく理解できるようになります。
以下は、知っておきたい重要な用語の一覧です。全体を網羅するリストではありませんが、AIへの意識を高め、 AIの活用方法を知るための大切な一歩となるでしょう。
人口知能(AI)
人間や他の動物が発揮する自然な知能に対して、機械が示すあらゆる知能のこと。 それらの機械は数理モデルを用いてデータセットのなかのパターンを特定およびコード化し、 それによりこれまで遭遇したことのない新たな状況に対して予測をたてることができる。
AIによるライティング支援(Ai-assisted writing)
ユーザーが入力した内容に基づいて、人口知能ソフトウェアが既存のコンテンツを活用し、文章を予測、修正、あるいは作成すること。 ツールによっては新たにひとまとまりの文章を作成することもできる。AIによる言い換えツールの場合は、 AIによって既存の文章の書き換えを自動で行うことができる。
AI生成文章(AI-generated text)
インターネット上の膨大な既存コンテンツをデータとして、人工知能が作成した文章のこと。
AIによる言い換え(AI paraphrasing)
AI技術により、既存の文章を元の意味を保ったまま他の言葉を用いて言い換えたり書き換えたりすること。
アルゴリズム
機械が特定のタスクの実行方法を学習するために従う、一連の命令または計算方法のこと。
自律性
なにか(この場合は機械)が人間による干渉や介入なしにタスクを実行すること。
チャットボット(または「ボット」)
音声またはテキストのコマンドにより、まるで人間同士が会話しているかのようなコミュニケーションを通して、 人間ユーザーの簡単な作業を行うのを手伝うようデザインされたプログラムのこと。
ChatGPT
ChatGPT(Chat Generative Pre-trained Transformerの略)は OpenAI社が2022年11月にリリースしたチャットボットのこと。教師あり学習(後述)と強化学習(後述) の手法を併用する大規模言語モデルである。ChatGPTは、インターネット上の既存コンテンツを基にして、 ユーザーの具体的なインプットから独自の文章を生成することができる。
認知科学
AIに加えて哲学、言語学、心理学、神経科学、人類学を含む、より広範な学問分野を指す。これらはすべて、 知性がどのように機能するのかを理解しようとするもので、AIの分野では、機械がいかに人間の思考や行動を模造できるかを研究する。
DALL-E 1(ダリ)
OpenAIが2021年1月にリリースした、文章を基に画像を生成するAIのことで、 Diffusionモデルと呼ばれるAIの系統に属する。2022には、後続のDALL-E 2(ダリツー)がリリースされた。
データセット
関連するデータポイント(実際の調査情報)を集めたもので、通常、タグ(ラベル)を付けて規則的に整理されている。
ディープラーニング(深層学習)
人工知能の構成要素の一つで、ニューラルネットワークを用いて情報を符号化し、幅広いタスクで最先端の性能を発揮すること。 生成系AIモデルがディープラーニングの典型例である。
基盤モデル(Foundation model)
ラベルのないデータの膨大なセットで学習されるモデルのことで、 最小限の調整でさまざまなタスクで活用することができる。
汎用型AI(General AI)
「強いAI」と呼ばれることもあり、(完全に同じではないが)人間が行う知的活動を完全に模倣できる人工知能を指す。
生成系AI(Generative AI)
学習アルゴリズムを用いて、デジタル画像や動画、音声、テキスト、コードを新たに作り出す人工知能の総称。
大規模言語モデル(LLM)
膨大なテキストデータを基に訓練されており、自然言語入力に対して人間のような応答を生成する人工知能のこと。
機械知能
機械学習やディープラーニングなど、さまざまなタイプの学習アルゴリズムの総称。
機械学習(マシンラーニング)
AIのひとつで、とくに、人間の助けなしに機械が新たなデータに応じて学習し、 進化し続けるための高度なアルゴリズムを開発することに特化した技術のこと。
自然言語処理(NLP)
テキストや音声を通じて人間の言っていることを機械が判断できるようにする技術のこと。
Open AI
米国カリフォルニア州サンフランシスコに拠点を置く、汎用人工知能(AGI)の研究および開発に取り組む企業で、全人類に利益をもたらすAGIの開発・構築を目指す。 最近リリースされたものには、ChatGPTとDALL-E 2 がある。
強化学習(Reinforcement learning)
望ましい行動には報酬を、望ましくない行動には罰を与えるという機械学習の方法。
強いAI(Strong AI)
能力的に人間の知性に匹敵するまたは人間より優れた人口知能のことを指し、開発が重視されている。同じ意味を表す用語として、 「汎用型AI」も使われる。
教師あり学習(Supervised learning)
特定の出力と紐付けられたデータ(正解のデータ)を入力してアルゴリズムを訓練することで人工知能を開発する、 機械学習の手法の一つである。
教師なし学習(Unsupervised learning)
AIアルゴリズムを使用して、分類もラベル付けもされていない(正解が決まっていない)複数のデータからパターンを特定すること。
テキストスピナー(Text spinners)
AI言い換えツールとも呼ばれるもので、元の文章を自動的に書き換えたり、言い換えたりして、 元の文章の複数の表現を生成するソフトウェアツール。
チューリングテスト(Turing Test)
機械(人工知能)の能力が人間の能力(知的活動)として通用するかどうかを調べるためのテストのことで、 とくに言語面と行動面で検証される。人間による採点の結果、機械のパフォーマンスが人間のパフォーマンスと区別がつかなければ、合格とされる。 このテスト名は、イギリスの著名な数学者でコンピュータ科学者、論理学者でもあるアラン・チューリング(1912-1954) にちなんだものである。
学生や教員が授業のなかでAIの活用法を知るためのリソースとしては、Turnitinの教員たちが作成したAI時代にアカデミック・ インテグリティを保持する方法などの資料があります(現在、英語のみ)。今後も、 イノベーションの最新情報を追いかけ、 教育でのAI開発の動向を把握し、Turnitinも含めて教育機関が学生の学習成果を支えるためのAI技術の活用を研究することで、 この急速に変化する時代のなかで、互いにつながりをもち、情報を共有していきたいと思います。