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迅速かつ公正な共同採点を実現する3つのポイント | ターンイットイン

The Turnitin Team
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Christine Lee
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学習には評価が必須です。教員養成について研究するディラン・ウィリアムズによると、学習評価は指導と学びの架け橋となるものです。ウィリアムズは、「どれだけ入念に指導を計画・ 実施しても、学生が何を学ぶかを確実に予測することはできない。学習評価を通してのみ、 学生に課した教育活動が意図した学習効果をもたらしたのかを見とることができる」と述べています(Wiliam, 2013)。

学習評価と採点はなぜ存在するのか?

学習評価(課題、試験、小論文、宿題、小テスト、授業内の作文、プロジェクトなど、 学生が自分の知識・理解を示すための活動全般)は学習の一部です。教員は課題の採点を通して、学生が何を分かっていて何を分かっていないのかを知り、カリキュラムの調整を行います。 理想的には、教員からのフィードバックを通して、学生が自分の学習の足りない部分を埋める方法を理解する機会にもなります。

学習評価が学生の学びにとって非常に重要なものであり、指導に有益な要素となることについては多くの教員が認めるところですが、 そこに含まれる採点作業については、まったく別の問題があります。試験や課題の採点は教科に関係なく重労働で、 夜中まで作業が続くことも多いものです。授業時間内に採点作業が発生することはあまりなく、「教員の宿題」になりがちです。また、 これも教科によらず、学生へフィードバックを返すにはさらなる時間が必要となります。小論文の採点であろうが、 有機化学や数学の試験の採点であろうが、フィードバックループを維持し、学生の学びを正確に測るには、教員側に大きな負担がかかります。 その結果、多肢選択式の試験が人気となるのです。そのような試験は、 うまく設計されていれば学生の学びを正確に測ることができますが、試験の性質上、フィードバックは存在しません。

大規模採点とは?

採点は多くの教員にとって、現実的な仕事であるのと同時に教育活動でもあります。

教育のベストプラクティスでは、ローステイクス・テストを頻繁に実施してフィードバックル―プの機会をつくり、ハイステイクス・テストのプレッシャーに直面する学生の学びを支えることが推奨されています。 理論的には効果的な指導法ですが、たとえ受講生の少ない授業であっても、実際に実施するのは難しいものです。何百、何千もの学生が受講する、 入門的な授業では言うまでもありません。

とは言え、最低限のハイステイクス・テストだけでも採点は重労働です。多くの大学で採用されている一般的な学習評価の頻度(中間試験・ 課題を2回と期末試験・課題を1回)でも、受講生が100人いると、合計300枚の答案を採点することになります。さらに、 フィードバックのコメントを記した採点済みの答案を、次の試験の前までに学生に返却することがベストプラクティスであるため、 迅速に採点して返却する必要があります。

受講生の多い大規模クラスが世界的に増えており、入学者数の増加や予算の制約、 高等教育機関においては入門的な必修の授業が必要であることを考えると、今後も解消しそうにありません。 クラス規模の縮小について深く研究されているにもかかわらず、多くの教員にとって、大教室での受講生の多い授業が普通になっています(Brookings Institute, 2011)。その結果、今の教員は、 大規模採点という独特のプレッシャーを抱えることになっているのです。

事実、採点へのプレッシャーと、採点には時間がかかるという性質から、教員が独自の解決策を編み出さざるを得ない状況に陥っています。 その1つの例が、サラ・イートン博士が考案した用語、「ゴースト採点」という新たな現象です。ゴースト採点とは、カリキュラムや教育機関に関わりのない、 営利目的の第三者を雇い、試験の採点や成績付けを委託することです。この問題についてはまだ研究中ですが、 このような短絡的な解決策が学生の学びに悪影響を及ぼす可能性があります。なぜなら、学生の受け取るフィードバックは、学生が期待している人物からではではなく、ましてや、 その分野の専門家でさえないからです。

高等教育では、とくに入門的な大規模クラスにおいて、採点すべき答案の数が膨大であるため、主な解決策として、 共同採点を実施することがあります。TA(ティーチング・アシスタント)と教員が協力して教えたり、試験の採点を分担したりする共同採点は、 大量作業に取り組むためのもっとも一般的な(率直に言うと、多くの場合は唯一の)解決策です。共同採点の昔ながらのやり方は、担当者 (TAと教授)が集まり、理想的には首尾一貫したルーブリックを用いて、 一緒に学生の試験を採点します。パンデミックでリモート学習を余儀なくされる状況をきっかけに、Gradescopeのような、 公正に採点するためのソフトウェアが積極的に活用されるようになりました。

迅速かつ公正な採点をチームで取り組む方法

チームでの採点は、明確な期待値を設定し、公正で偏見のない結果を保証するツールを用いると効果的です。 それを実現するにはどうすればいいのでしょうか?

共同採点のポイント1:TAを採点チームの一員にする

これは公正な採点・成績付けのために必要な第一ステップです。TAの仕事は通常、大学院生や学部の上級生が担当します。 教員の代理を務めるTAの最優先事項は、学生として、自分の学業をまっとうし、学業上の要件を満たすことです。TAをするときだけ、 アシスタントおよび教員の役割が加わるのです。また、場合によっては、採点チームに「採点者」や「採点専門TA」 という別の役割の人が加わるかもしれません。かれらの仕事は採点だけで、指導やオフィスアワーの担当はしませんが、 授業内容を理解するために講義に参加することはあります。

TAを自分で選ぶにせよ、割り当てられるにせよ、多くの場合、TAには指導や採点の経験がありません。そのため、 かれらが新たな役割になじめるよう支援し、授業について理解させることが重要です。TAに授業での責任を実感させるために、 採点とフィードバックについて明確な優先事項と基準を定めることが鍵となります。

採点の期待値を明確にするには、TAや採点者に1枚の答案を採点させてみるといいでしょう。採点した答案を教員が確認し、 TAがガイドラインを理解し、一貫性を確保しているかを具体的にチェックすることができます(Dennis, 2019)。公正な採点には、TAが、授業や採点チームと足並みをそろえて仕事できるように保証することが必須です。

教員が自分の採点チームを信頼し、期待値に沿って採点作業を進めることで、迅速かつ公正な共同採点を実現できます。


共同採点のポイント2:模範解答

模範解答や、予想される解答に対するパフォーマンス・レベルを定義したルーブリックを作成し、配布しましょう。 採点者にルーブリックを提供することで、採点者の理解度が増し、学生の答案に対して、学習に役立つ、 一貫性のあるフィードバックを書くことができるようになります。

Gradescopeのような採点・評価ツールを活用すると、ルーブリックに応じた個別のフィーバックが可能になります。さらに、 Gradescopeは、特定の設問に対するこれまでのフィードバックをすべて保管するので、採点者は新たなコメントを書くことも、 過去のコメントの中から選ぶこともできます。これも、採点の公正さと一貫性の保持に役立ちます。

あるいは、セクションごとのルーブリックをTAに作らせる教員もいます。その場合も、 TAの作ったルーブリックが他のチームメンバーと教員の期待に沿っているか確認することが重要です。もしチェックせずにいると、 セクションごとに採点結果が異なる可能性があります。(例えば、「採点の甘いTA」と「採点が厳しく、クラスの半分が単位を落とすTA」 に別れるかもしれません。)ルーブリックを提供することで、学生からの再採点の申請も減るため、 あとで教員が再採点に時間を割くこともなくなるでしょう。


共同採点のポイント3:設問ごとの採点

匿名採点に加えて、学生ごとではなく設問ごとに採点すると、採点時の偏見をなくすことができます。一度に1つの設問を採点する(例えば、 設問が3つあるなら、まずは設問1を一括採点し、つぎに設問2、最後に設問3を採点する)と、同一基準を用いて採点でき、 他の設問への解答に影響されることもありません(Aldrich, 2017)。

設問ごとの採点は、共同採点チームのメンバー間の偏見や矛盾を減らします。そのための機能は、 Gradescopeなどの採点ツールの多くに搭載されています。また、設問ごとの採点は採点チームのワークフローも改善します。採点者は、 設問1と設問2を採点する日と、設問3と設問4を採点する日を別に設定することができます。また、採点者Aが設問1と設問4を担当し、 採点者Bが設問2と設問3を採点する、といったように、設問を採点者ごとに割り当てることもできます(Ricci & Dogucu, 2021)。

匿名採点をするには、採点ソフトウェアを使うだけでなく、解答冊子の名前を記した表紙部分を後ろにめくったり、 氏名記入欄を折り曲げて隠したりすることも考えられます。匿名化する方法がどのようなものであれ、偏見のない採点には匿名採点が欠かせません。


共同採点のベストプラクティス

採点は指導と学びが交わる重要な接点です。教員は、 特定の概念に対する学生の知識の深さを測ることができ、学生は自分の学習の足りない箇所を理解することができます。さらに、採点とともに項目分析を実施すると、カリキュラムを改善し、 学生が次にすべきこと示すフィードバックを提供できます。

採点の簡略化は魅力的です。事実、多くの教員が、膨大な仕事量を目の当たりにし、それ以外に方法がないと感じています。他方で、 試験をしてフィードバックを返すことが教育の非常に重要な要素であることも分かっています。では、 教員が時間を節約しながら教育のベストプラクティスを実施するにはどうすればいいのでしょうか?

高等教育機関においては、共同採点が1つの解決策です。仕事量を管理し、チームで採点を分担することができます。 共同採点を、迅速かつ公正に実施することで、教員にとっても学生にとっても、採点が学びに変わるでしょう。