多くの学生がアカデミック・インテグリティの遵守において、自己盗用・自己剽窃という概念を誤解しています。自分の成果物を盗用・剽窃し得るという考えは盗用・剽窃 Spectrumのなかでも知名度が低く、盗用・剽窃とは他者の成果物を自らの功績として発表することだと思い込んでいる学生たちから、しばしば信じられないという反応を受けることもあると思います。
学生からのよくある反論は、自分の知的財産であるなら再利用してもかまわないはずだ、というものです。実際にはそんなに単純なものではありません。以前に、自己剽窃と引用の間違いが論文投稿でもたらす影響について紹介しましたが、人工知能、とりわけ生成AIがオリジナリティ(独創性)に対する私たちの期待とアカデミックライティングの要素を変えつつある昨今の状況を鑑みると、ここで再度振り返ってみましょう。本記事では、自己盗用・自己剽窃の構成要素(および定義)と、それがどのように生じるのかを検証し、AI世界におけるオーサーシップ(著作の帰属)とアイデアの発展に関わる教育について、より幅広い対話につながる解決策を考えていきます。
自己盗用・自己剽窃とは何か?
メリアム・ウェブスターの辞書では自己盗用・自己剽窃をもっと一般的な盗用・剽窃と区別して、「とくに先に利用したことを言及せずに、既存の資料から自分自身の言葉やアイデア、芸術表現(エッセイで使われるような)を再利用すること」と定義しています。これには、学生が自分の成果物をそのまま全部複製し、関連する別の課題で使用したり、よくある方法としては、大部分をコピーして他の文章と混ぜたりする行為も含まれます。
一般的な盗用・剽窃と自己盗用・自己剽窃の明らかな違いは、原著者が他人か自分か、という点ですが、既存のアイデア、言葉、表現を、出典を示さずに用いるという点では、どちらも変わりません。出典の明示を強調することは、学生が自己盗用・自己剽窃を理解し、回避するうえで重要です。というのも、それは、著作権の問題にとどまらず、自分の成果物をつくりだすうえでオリジナリティがなぜ重要なのか、という核心にも迫るものだからです。
自己盗用・自己剽窃の理解を妨げるもうひとつの問題は、西洋的な概念である盗用・剽窃について、アカデミック・インテグリティの文化的解釈が異なることです。盗用・剽窃を防止するガイドラインは欧米以外でも着実に受け入れられていますが、アジア地域の中では、自分の言葉や成果物を盗用・剽窃することが問題であるとい認識が薄い地域もあり、文化的違いがあるのも事実です。
なぜ学生は自己盗用・自己剽窃をするのか?
自己盗用・自己剽窃は他の著者から作品を盗むよりも罪が軽い、という学術界の認識は仕方のないものですが、その意図せぬ結果として、学生の成果物の審査や評価において、自己盗用・自己剽窃が学生だけでなく教育者にまで見過ごされてしまう可能性があります。
教育機関のオーナーコードの盤石さにもよりますが、多くの学生は、2つの異なる課題に対して同じ成果物を提出することは、よくても怠慢、最悪の場合には不正行為にあたることを分かっています。もちろん、罰則を意識しているからといって、なぜ自分の成果物の再利用が学習目標の毀損につながるのかを理解しているとはかぎりません。自分の成果物を一字一句再利用することが不正行為にあたることに気づかない学生がいる一方で、それを正当化しようとする学生もいます。
学生が自己盗用・自己剽窃をしてしまう5つの主な理由
- 課題の締め切りに対する時間管理不足
- 過去に高得点や合格点を得た成果物やアイデアへの依存による、新たな学習の阻害
- 自分の知的財産は盗用・剽窃ガイドラインの対象外だという思い込み
- 課題への無関心および不参加
- アイデアの展開、帰属の明示、独創的な研究を発表することの重要性についての経験不足
これまでの課題を基にアイデアや文章を積み重ね、さらに良い成果物をつくりあげるには、自己規律のスキルが求められます。授業のなかでこの自己規律のメリットを理解しない学部生が、同様の行為を大学院での研究に持ち込むと、自己盗用・自己剽窃を含む研究になるかもしれません。
以前、研究論文における自己盗用・自己剽窃について記事にし、大学院生が科学的な研究に新たな貢献をするためには、既存のアイデアや研究論文を基にして自分の研究をつくりあげるスキルを身につける必要があると説明しました。とくに大学院生にとっては、既存のものを「新作」と偽って発表すると、リジェクトや撤回、さらには著作権侵害などのリスクが大きくなります。
学部生のうちに意識を高め、適切な習慣を身につけることで、自己盗用・自己剽窃によって授業内容を習得する機会を失うリスクや、大学院生になったときに科学に貢献する機会を逃すリスクを回避することができます。
自己盗用・自己剽窃をした場合、罰を逃れることができるのか?
前述したように、自己盗用・自己剽窃とは、適切な引用や出典を示すことなく、以前に発表した自分の成果物を再利用する行為を指します。一般的に盗用・剽窃という概念には、他人の成果物を無断で使用することが含まれており、世間の注目を集めやすいものです。他方、自己盗用・自己剽窃も、学術界やその他の専門分野においては倫理に反する行為と見なされます。
重要なのは、過去に書いた文章を扱う際に線引きが必要であることを学生が理解することです。自己盗用・自己剽窃の回避とは、関連する過去の投稿論文や出版論文に一切触れないことではありません。
事実、研究者が、方法、説明、背景情報など、以前の研究の一部をその後の出版物において再利用するのはよくあることです。出典を明示し、必要な許可を得て、アイデアを積み重ねるという精神のもとで使用しているかぎり、自己盗用・自己剽窃の罪を犯すことはないでしょう。
しかし、出典を適切に示さずに、同じ成果物を新作、またはオリジナル論文として発表しようとした場合、それは非倫理的とみなされ、その結果、評判に傷がついたり、学術的な罰則を受けたり、あるいは法的措置に発展する可能性があります。アセルタ法律事務所(2017)は、「多くの学生が自己盗用・自己剽窃を馬鹿げていると感じるが、大学や教育機関は、他者のアイデアなどあらゆる情報源の帰属を明示したうえで、大方オリジナルである成果物を求める。情報源にはあなた自身も含まれる。以前にその成果を使用したことがある場合、以前の成果物を引用しなければならない」と説明します。
アカデミック・インテグリティを確実に守るためには、自己盗用・自己剽窃について、教育機関、出版社、または組織の個々のガイドラインやポリシーをつねに参照するといいでしょう。迷ったときは自分の成果物の再利用について許可を求め、適切な帰属表示を行い、透明性を保つようにすると、リスク回避につながります。
なぜ自己盗用・自己剽窃は避けるべきか?
自己盗用・自己剽窃を避けるべき理由はいくつかあります。
1.アカデミック・インテグリティ
自己盗用・自己剽窃は、アカデミック・インテグリティの原則に反します。学術研究の目的は、その分野に新たな知識やアイデアを提供することです。適切な引用や出典の明示をせずに過去に発表した自分の研究を再利用するということは、現在の研究の新規性や独創性を偽ることです。
2.研究の重複
自己盗用・自己剽窃をすると、異なる出版物や課題で、同じ内容が重複することになります。これにより、読者や評価者は新しい内容に出会ったと誤解し、時間とリソースを無駄にする可能性があります。
3.読者の誤誘導
再利用した内容を新作あるいはオリジナル論文であるかのように発表すると、読者に誤解を与える恐れがあります。読者も同僚も指導教授も、あなたの成果物を読むときは斬新な洞察や最新の情報に出会うことを期待しています。自分の成果物の再利用を明示しないことは、信頼を裏切る行為とみなされる可能性があります。
4.不完全な引用
適切な引用や出典の明示がないために自己盗用・自己剽窃が起こると、 アイデアや方法、データの出所について混乱や曖昧さが生じます。透明性を保持し、読者がアイデアの発展過程をたどって研究結果の妥当性を評価するためには、正確な引用が不可欠です。
5.倫理的配慮
自己盗用・自己剽窃の倫理的な影響を理解し、他人の著作物と同様に自分の成果物の知的財産権を尊重することが重要です。適切な引用を行わずに、以前に発表した自分の成果物の功績を奪う行為は、倫理基準や専門的な規範に違反すると見なされる恐れがあります。
6.評判と信頼性
自己盗用・自己剽窃は、その分野でのあなたの評判や信頼性に悪影響を及ぼしかねません。ひとたび発覚すれば、専門家としてのあなたの地位を傷つけ、将来の機会や共同研究、出版の見込みに影響を与える可能性があります。つまり、アカデミック・インテグリティを保持し、知的財産権を尊重し、読者や評価者に対して透明性を保ち、専門家としての自分の評判を守るために、自己盗用・自己剽窃を避けるべきなのです。つねに倫理的な実践を貫き、自分の過去の研究を適切に引用して出典を明記し、自分の分野に新しく独創的な貢献をするよう努力することが何よりも大切です。
AI世界における自己盗用・自己剽窃
AI新時代の教育は、学生に意識的・意図的な思考を求めます。学生は必要なアウトプットを引き出すために文章生成AIを活用し、最終的にはAIが生成したものと自分の思考を区別できるようにならなくてはなりません。オーサーシップが曖昧になり、人間と機械の共同執筆が当たり前になる時代において、学生の学びを評価するには、学生自身の手による「成果」を示すことが要となります。
これまでのデジタル時代で、他者や自分の成果の盗用・剽窃を行う学生は、テキストの類似性を偽るためにワードスピナーを使うのが一般的でした。そのような方法は、情報を再構成するという重労働を生成AIに命令するという戦略に取って代わられると考えられます。教育現場がAIライティングを取り入れるなら、自己盗用・自己剽窃の取り締まりは、検知と抑止の両面においてどのような意味を持つのでしょうか?
AIの責任ある使用については多くの疑問があり、オーサーシップと帰属に関する期待はいまだ不確かですが、ひとつだけ確かなことがあります。AIが主流となる世界においても、オリジナリティは依然として絶大な価値を持ち続け、自己盗用・自己剽窃は学術不正の一形態であるという原則は、学生たちがアイデアを発案し、発展させるスキルを身につけるのを後押しするということです。
言語モデルAIは自己盗用・自己剽窃をするのか?
学術の世界においてAIが生成したコンテンツをある程度活用することになるのであれば、アカデミック・インテグリティの水準を維持するうえでの影響を理解する必要があります。ChatGPTのような言語モデルAIには、私的な体験や個別の思考、生成したコンテンツの所有権がありません。言語モデルは教師データで学習した知識やパターンに基づいて応答を生成します。したがって、自己盗用・自己剽窃の概念は言語モデルAIには当てはまりません。
しかし、既存のコンテンツの大規模なデータベースから学習するため、言語モデルが生成する応答のなかには、人間によって過去に発表された成果物と類似の文章や情報が含まれる可能性があります。言語モデルAIが生成したコンテンツの独自性と適切な帰属表示を守る責任は、AIのアウトプットを自分の研究成果のなかで活用する利用者にあります。
学生や研究者は、言語モデルが生成するコンテンツを使用する際には注意を払い、再利用あるいは引用した文章について、適切な引用と関連する情報源の帰属表示を確実に行う必要があります。AIモデルが提供した情報と提案に対して、その正確性と合法性、独創性を確かめる責任は利用者にあるのです。
教員は自己盗用・自己剽窃を気にするのか?
自分の成果物を引用することは、アカデミック・インテグリティの価値全般に貢献するため、教授やほかの教員は自己盗用・自己剽窃を非常に重視しています。考え方や実践方法は個々の教員や教育機関で異なりますが、自己盗用・自己剽窃は一般的に倫理にもとる行為であり、アカデミック・インテグリティ違反であると見なされます。
教員は学問的水準を維持し、学生の倫理的な行動を促す責任があります。一般的に、教員が学生に期待するのは独自の成果物です。その成果物は、学生の理解力と批判的思考力、新たなアイデアや研究に携わる能力を証明するものでなければなりません。もし学生が適切な引用や出典の明記をせずに過去に発表した自分の成果物を提出して、自己盗用・自己剽窃を行うと、アカデミック・インテグリティの原則と教育プロセスを毀損します。
また、多くの教員は自分の専門分野に精通しており、既存の文献や研究のことをよく知っているものです。そのような教員は、自己盗用・自己剽窃に気づき、学術規範の違反行為であると特定することができます。
自己盗用・自己剽窃がもたらす結果は多岐にわたりますが、そのような不正行為に対しては以下のような措置が考えられます。
低評価あるいは落第
学生が自己盗用・自己剽窃をしたことが判明した場合、それは独創性やアカデミック・インテグリティの欠如を示すため、教員は当該学生の成績を低くしたり、不合格にしたりするペナルティを課すことがあります。
不正行為の報告
悪質、あるいは繰り返す自己盗用・自己剽窃に対しては、教員が教育機関内の関連部署やアカデミック・インテグリティ委員会に報告するかもしれません。この場合、停学処分や退学処分など、さらに厳しい罰が下される可能性があります。
指導および教育
教員によっては、アカデミック・インテグリティの重要性、適切な引用方法、自己盗用・自己剽窃がもたらす結果について、教育の機会を学生に与えることもあります。自己盗用・自己剽窃を避ける方法を指導し、学生が自分のアイデアや議論を発展することを奨励するでしょう。
自己盗用・自己剽窃は一般的に学術倫理の違反とみなされ、深刻な結果を招きかねないことを学生に理解させることが重要です。大切なのは、倫理基準を守り、過去の研究成果を適切に引用し、出典を明記し、学術研究のなかで独創的な貢献をするよう努力することです。
自己盗用・自己剽窃の危険性を回避する方法
過去の著作物を再利用することの可否は、教育機関、出版社、専門分野が決めた特定の文脈、ガイドライン、期待によって異なります。自分の成果物の再利用が許される状況や自己盗用・自己剽窃の領域に入ってしまう状況を判断するために、考慮すべき大切な点をいくつか紹介します。
適切な引用と出典の明記
過去に発表した自分の成果物を再利用する必要がある場合は、適切な引用と出典の明記が不可欠です。資料の出典を明確に示し、正確な引用を心がけましょう。そうすることで透明性が保たれ、読者や評価者がオリジナルのコンテンツと再利用されたコンテンツを区別できるようになります。
許可と著作権
セクション全体や章全体など、自分の成果物のかなりの部分を再利用したい場合は、著作権者の許可を得ることをお勧めします。その成果物が出版社から出版されている場合や、コンテンツの再利用を制限する法的な取り決めがある場合には許可を得る必要があります。
付加価値と貢献
自分の成果物を再利用する場合は、新たな論文のなかで付加価値や貢献を保証しましょう。具体的には、過去のアイデアの発展、情報の更新、新たな洞察の提供、異なる視点からの研究の提示などが含まれます。意味のある新しいコンテンツを追加せず、以前の成果物を単にコピー&ペーストすることは一般的に認められません。
情報開示と透明性
再利用された要素を含む論文を投稿または発表する場合は、再利用したことについての透明性を確保してください。どの部分が既に発表されているのかを明確に示し、出典を明記しましょう。そうすることで説明責任を果たし、読者や評価者が混乱することなく論文の新規性や独創性を評価することができます。
大切なのは、自己盗用・自己剽窃に関するガイドラインは、学問分野、ジャーナル、学会、機関によって異なる可能性があることに留意することです。自分の専門分野や出版・発表の場における具体的なガイドライン、方針、期待値をつねに確認するようにしましょう。
つねに慎重に慎重を重ね、新しく独創的な貢献するよう努めることがベストプラクティスです。倫理的な行動とアカデミック・インテグリティの保持がつねに優先されるべきです。特定の文脈のなかで自自己盗用・己剽窃の可否について確信が持てない場合は、指導教員やメンター、または当該の責任者に指導を求めることをお勧めします。
教育機関が自己盗用・自己剽窃を抑止する方法
明らかな最重要事項は、自己盗用・自己剽窃を教育機関のオーナーコードやアカデミック・インテグリティ方針に含めることと、学生がその概念を身近に感じられるようにすることです。実践例を紹介したり授業で具体的に説明したりすると、学生が自己盗用・自己剽窃を理解する役に立ち、さらに重要なことに、学生が自分のアイデアを再利用する際に自己規制できるようになるでしょう。
教員は自己盗用・自己剽窃のリスクを抑えるために次のような取り組みができます。
- ライティング課題で、類似の情報を別の方法で表現する能力をテストする
- 学部レベルから健全な研究実践を早い段階で開始する
- アイデアの曖昧化を避けるために、帰属表示と言い換え方法を指導する
- 同一科目内で、評価課題や試験問題の再利用を避ける
- 自己盗用・自己剽窃を検知し、不正行為を抑止するための専用ソフトウェアを活用する
とくにライティングにおいて不注意による自己盗用・自己剽窃を減らすには、同じ概念を異なる方法で説明したり適用したりする能力を鍛える活動、新しい情報と古い情報を統合する活動、評価課題において成果物を完成させるために既存のアイデアを発展させる活動などを通して、学生の自信と誠実さを育むことが重要です。しかし、AI化の進む教育現場では、どのように実践していけばいいのでしょうか?
自己盗用・自己剽窃のチェック
教員が学生の成果物を手作業で採点し、自己盗用・自己剽窃(さらには、あらゆる盗用・剽窃)をすべて見つけるのは不可能です。学生の文章の癖や過去の課題を熟知していれば、コンテンツの再利用やアイデアの繰り返しに気づきやすくなりますが、授業担当者が異なると見過ごされ、報告されない可能性があります。
この20年間で、テキストの類似性を検知し、盗用・剽窃の可能性を可視化する技術が、時間に追われる教員を支援し、いつでも自動的に独創性のない成果物を防ぐ手段として当たり前のものとなってきました。また学生も、盗用・剽窃を避けるために、このようなソフトウェアを通して成果物を提出することに信頼を寄せるようになりました。
しかし、学生の提出物と比較する既存コンテンツのアーカイブは、通常、出版された成果物に限られており、他の著者の成果物の盗用・剽窃に焦点が当てられます。ほとんどの場合、類似性チェックソフトウェアは学生の過去の提出物のリポジトリは参照しないため、自己盗用・自己剽窃を特別に検知する機能がありませんでした。
学生の過去の成果物との類似性を検知するツール
Turnitinの類似性レポートは、インターネット、学術論文、学生の過去の提出物を包括的にカバーする、業界トップレベルのデータベースを参照します。つまり、当社のツールを活用すると自己盗用・自己剽窃の可能性を可視化することができるのです。さらに、iThenticateは、大学院生が研究や出版で直面する課題に特化しているため、大学院生の独自原稿の執筆を支援し、また、盗用・剽窃により評判が傷つくリスクからも守ります。
このような専門的な教育支援ツールは、教員と学生が、自己盗用・自己剽窃に陥らないように注意・努力義務を強化するのに役立ちます。さらにこのテクノロジーは、形成的な指導にも活用できます。それぞれの学生の成長を、成果物のポートフォリオと照らし合わせて評価し、ライティングと学習評価の新時代に必要な能力を育む役に立ちます。
まとめ:自己盗用・自己剽窃とAI
自己盗用・自己剽窃とは、研究や出版の文脈で生じる概念で、過去に発表した自分の成果物を、適切な引用や出典を明示することなく再利用することを指します。自分の言葉を再利用するだけでなく、アイデアの重複にもなるため、科学研究における独創性の毀損にもつながります。最近のChatGPTのような言語モデルAIの出現のもとで、自己盗用・自己剽窃やその他の学術不正への対策は、新たな重要性を帯びてきています。
本記事で説明した通り、言語モデルAIそのものが自己盗用・自己剽窃をすることはありませんが、既存の成果物との類似する可能性があり、独創性や引用方法、人間が執筆した文章とAIが生成した文章との区別といった懸念に対処するために、ガイドラインを整備する必要があります。
AIが生成したコンテンツを活用する学生、教員、その他の研究者は、情報の独創性と正確性を確かめる責任を負います。言語モデルAIが生成したコンテンツを研究や出版で活用する場合、適切な引用と、人間が執筆した情報源への帰属表示を、必要に応じて行わなければなりません。
そのため、AIの進化と様々な分野へのその影響を考えると、研究者、出版社、教育機関が、AIが生成したコンテンツの利用に関するガイドラインと基準を確立することが重要です。
ChatGPTのような言語モデルAIには個々の所有権がないため自己盗用・自己剽窃はしませんが、それを活用するユーザーは、AIが生成したコンテンツの出典と適切な帰属表示を心がけ、分野ごとの倫理的慣行を遵守していきましょう。