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オーセンティック評価(真正の評価)とは何か? | ターンイットイン

The Turnitin Team
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Audrey Campbell
Audrey Campbell
M.A. in Teaching; Senior Marketing Writer

オーセンティック(真正の)評価とは、知識の付加的な要素を測定することにより学びを促進するアプローチです。学習評価は学習過程になくてはならないものです。学習評価を通して、教員は学生が何を知っていて、 何を知らないのか、なぜ学生が特定の概念を理解している(あるいはしていないのか)を把握することができます。ディラン・ウィリアムズは、 「学習評価は指導と学びの架け橋であり、授業の内容が、意図した通りの学びを引き起こしたかを確認することができるのは、 学習評価を通してのみである」と述べています。(2011

学生の学習体験を重視するには、学習活動や講義、科目で学習を区切るのではなく、継続的なものとして捉える必要があります。 学習評価を通して、教員が学生の学びを補い、学生が次に進むためのフィードバックを受け取ることができれば、 学習評価もその継続的な学習の一部となります。

学習評価にはさまざまな形態があります。従来型の学習評価では、限られた時間のなかで、 試験の解答を選択あるいは記述するよう学生に求めるのが一般的です。そのような従来型の試験は、学生が知識を認知し、暗記しているかを測ります。 しかし、多くの研究により、オーセンティック評価がアカデミック・インテグリティを促進するだけでなく、 より効果的に学習を測定できることが分かってきています。一般的に、オーセンティック評価は何度も繰り返し行われるもので、 学生が課題を実行して知識を応用することを求めます。

では、オーセンティック評価には具体的にどのような活動が含まれるのでしょう?オーセンティック評価の定義とその効果について説明します。 さらに、さまざまな学年や学問分野に応用できる、真の学びを測るためのオーセンティック評価の例も紹介します。

オーセンティック評価とは?

多くの教員が、学生の学びを正確に測るだけでなく、 授業で学んだスキルが授業外でどのように応用できるのかを教えられる学習評価を求めるでしょう。そのような学習評価は、 教室以外の場所での知識の応用を求めるため、「オーセンティック(真正の)」と捉えられます。

オーセンティック評価とは、学習者が知識とスキルを現実世界の文脈で応用することを求める学習評価です。 学生が知識をいかに応用するかを観察することで学生の知識を測ります。このタイプの学習評価は、学生の批判的思考力、課題解決能力、 コミュニケーション能力を測定するよう設計されています。

構成主義的なアプローチによると、 関連する学習から得られた具体的な体験に基づいて理解を深めたときに学びが最適化されます。教育改革者で、構成主義理論の父でもある、ジョン・ デューイは、実生活の状況や問題を、教育体験として重視しました。ソウル・マクラウド博士は、「(デューイの思想によると)学生が問題を受動的に受け止めるだけで、 その問題に対する結果を、意味的、情緒的かつ内省的な方法で体験しなければ、学生は適応したり、自分の習慣を正したり、 新しい習慣を構築したりすることはほとんどないか、あるいは、表面的にやるだけだろう」と説明します。

構成主義の立場から考えると、オーセンティックな学習がより深い理解につながり、オーセンティック評価が、その理解度を明示的に測ります。 当該の学問分野が現実世界で直面する問題を反映した課題を教員がつくれば、学生は学んだことをさまざまな文脈、シナリオ、 状況に適切に当てはめることができます。このように、オーセンティック評価は、学習内容の暗記にとどまらず、 学習内容の理解や関連性を深めるのに役立ちます。

オーセンティック評価の特徴とは?

オーセンティックな課題作成や評価する方法はさまざまです。
グラント・ウィギンズは、次の条件に当てはまる課題はオーセンティックであるとします。

  • 現実に即している
  • 判断や革新を要する
  • 学習内容を「実践する」ことを学生に求めている
  • 職場や社会、私生活において大人が「試される」状況を再現または模倣している
  • 複雑な課題をうまく切り抜けるために、もてるすべての知識とスキルを効率的かつ効果的に用いる能力を評価する
  • 練習やリハーサルをしたり、リソースを活用したり、 パフォーマンスや成果物へのフィードバックを受けて修正したりするための適切な機会が設けられている(1998

従来型の試験や、標準的な多肢選択式のような設問は、多くの場合、 学生が授業で習得したスキルや知識を応用する能力を間接的に測るものです。学生が知識を持っていることは分かっても、 その知識を応用できるかは分かりません。学生が概念をどれくらい深く理解しているかも測れません。 従来型の試験はカリキュラムのなかで重要や役割を果たす一方で、従来型の試験よりもオーセンティック評価を重視する理由があります。

まず、第一にオーセンティック評価は現実世界の課題を含んでおり、学生にとってより興味深く、意欲を引き出すものであるため、 学生が従来型のテストよりも熱心に取り組む傾向があります。第二に、オーセンティック評価は丸暗記ではなく、高次の思考と課題解決を求めるため、 学生はどのスキルをどこでどのように選択するのか判断する必要があります。

教員は、その課題を評価するための具体的な評価基準を示したルーブリックを準備することで、オーセンティック評価の採点も一貫して行いやすくなるでしょう。

以下の表は、ウィギンズとインディアナ大学ブルーミントン校(アメリカ)が作成した、 従来型の試験とオーセンティック評価の違いについての一覧表です。

従来型の試験
オーセンティックな課題
オーセンティックかどうかの指針
正解を求める
質の高い成果物やパフォーマンス、課された問題をどのように解決したかの説明を求める
正答かどうかだけでなく、学生が自分の解答を証明する必要がある。
テストの妥当性を保つために、事前に学生に問題を教えてはならない
可能な限り学生に事前に周知すべきである
課題内容と評価基準が、周知されているか、あるいは予測可能でなくてはならない。
現実世界の文脈や制約から切り離されている
実社会の文脈や制約と結びついており、学生が学問を「実践する」ことを求める
課題内容の文脈や制約は、その分野の実務家が直面しそうなものである。
特定のスキルや事実から切り離された設問が含まれる
課題内容は、様々なスキルや知識を組み合わせる必要のある総合的なものである
正解があるとしても、多面的で複雑な課題である。
採点が簡単な設問が含まれる
正解がなく、採点が容易でない複雑な作業を伴う
採点の信頼性のために評価の妥当性が犠牲になることはない。
「一発勝負」で、学生が自分の学習を証明する機会が一度しかない
反復的に、繰り返し行われるタスクが含まれている
学生は、特定の知識やスキルをいくつかの異なる方法または文脈で活用する。
スコアを知らせる
学生のスキルや知識に関して、役に立つ評価結果を提供する
将来のパフォーマンスを向上させるために学習評価が設計されており、学生はそうした情報の大切な「消費者」である。

オーセンティック評価は、授業で得た知識とスキルの応用力を間接的に測る従来型の試験とは対照的です。 従来型の試験はカリキュラムのなかで重要な役割を果たしますが、できるだけオーセンティック評価と組み合わせる必要があります。

授業で実践できるオーセンティック評価には、どのような例があるのか?

オーセンティック評価には多くの形式があり、教員の予想以上に簡単なものもあります。実際、プロジェクト学習や口頭発表、 そのほかの実践的な活動を通して、学生が自分の学びを説明する機会を十分に設けることで、最終的には教員の採点の労力も軽減され、 学生が学習評価自体をもっと楽しめる可能性があります。

以下のオーセンティック評価の具体例は、学年や学習分野に応じて修正して活用することができます。

  • ポートフォリオ:ポートフォリオとは学生の成果物を集めたもので、経時的な学びを示します。ポートフォリオには、 小論文やプロジェクト、発表、作品などが含まれます。保護者や教員との面談において、学生が自分のポートフォリオについて話し、 得意分野や成長した分野を説明することができます。

  • パフォーマンス課題:パフォーマンス課題とは、学生が知識やスキルを、現実の文脈で発揮することを求める活動です。 討論や発表、実験などが含まれます。

  • プロジェクト:プロジェクトは、目標を達成するために学生がさまざまな知識やスキルを活用する、長期間にわたる課題です。 個人プロジェクトやグループプロジェクト、学内で行うものや学外で行うものなどがあります。

  • 討論(ディベート):討論は、学生が特定の観点について賛成や反対などの意見を表明する機会です。授業内や、 公開討論会で実施されます。
  • シミュレーション:シミュレーションとは学生が現実世界の状況を体験することのできるコンピュータープログラムです。 科学や歴史学、経済学などさまざまな分野の教育で活用できます。


大学や大学院での教育については、インディアナ大学ブルーミントン校のオーセンティック評価への以下の取り組みが参考になります。


  • 看護:提供された患者の事例について、アセスメントと看護計画を作成する

  • ビジネス:ビジネス 興味のある分野について、架空の(あるいは実在する)企業の事業計画やマーケティング計画、 セールス計画を作成する。

  • コンピューターサイエンス:問題のあるコードへの対処や、特定の問題を解決するためのウェブサイトやアプリケーションを (求められた基準を満たすよう)開発する。

  • 心理学:複数の理論的立場から事例を検討・批判する。

  • 公共問題や公共サービス:特定の課題(予算削減、インフラの機能停止、公衆衛生面の危機など)により、 地域機関がどのような影響を受けるかを検討する。

  • 生物学・化学:あるプロセスの仕組みについて、Xが発生した場合にどうなるかを示す図を描く。

オーセンティック評価のメリットとは?

ニューサウスウェールズ大学(オーストラリア)は、「オーセンティシティー(真正さ) は優れた評価実践の基本要素」であり、「通常、学生が重視する」ものであると主張しています。

例えば看護学生が、「患者を適切に扱うことの利点」について小論文ではなくロールプレイや模擬演習をするよう求められると、 その看護学生は自分が学んだことを状況と結びつけ、シナリオが提示する現実世界の複雑さや予測不能な事態に対応しなければなりません。 手術室で緊張する患者をどのようになだめるかについて文章を書くのではなく、ロールプレイのなかで、授業で学んだことを実践し、 リアルタイムで課題解決する必要があります。そのような評価活動では、教員と学生の双方が、 学習を通して身につけた能力を目にすることになるでしょう。学生のやる気を引きだし、学習に専念させること以外にも、 オーセンティック評価には次のようなメリットがあります。

  • 学生の学びについてより正確に把握できる
  • 学生が批判的思考力や課題解決スキルを身につけるのに役立つ
  • 学生のコミュニケーションスキルと協働スキルの育成につながる
  • それぞれの学生に応じた指導が可能になる

つまり、オーセンティック評価には学生と教員の双方にメリットがあるのです。学生は、オーセンティック評価を通して、 十分な量の情報を得て、自分の知識を効果的に証明することができます。教員は、学生の学習状況をより正確に理解・測定することができ、 学生の知識や成長の可能性を明確に知ることができるのです。

オーセンティック評価とアカデミック・インテグリティとの接点

ある研究によると、口頭でのやりとりを含むオーセンティックな試験が、学術不正を防ぐことが分かっています。 「試験と現実世界の状況との関連性が高ければ高いほど、学生が学術不正に手を染める可能性は低くなる」ことが示され、さらに、 「口頭でのやりとりが含まれる試験により、学生は職業人としてのアイデンティティと意識、コミュニケーションスキルを身につけ、 将来の就職に役立つ」ことが指摘されています(Sotiriadou et al., 2020)。

別の研究では、ニュージーランドの18名の学生が協力して、持続的な変化のための地域プロジェクトの開発に携わりました。 学生たちは活動を振り返って、「現実の職場の雰囲気を感じられること、個人の努力が強化されること、多様なスキルを身につける機会となること」 など、オーセンティック評価の多くのメリットを報告しました。(Asgarova et al., 2023

オーセンティック評価は、構成主義的なアプローチに基づいたアクティブ・ラーニングと深く結びついています。アクティブ・ラーニングでは、 学生が受動的に情報を受け取るのではなく、自分自身の理解を深めるために積極的に役割を果たすべきだと考えられています。学習活動が、 学生の関わりと思考することを求め、さらに現実世界の状況と学びついていれば、 学生は自分の生活ですぐに実践できる具体的なスキルを身につけるでしょう。

オーセンティック評価とはどのようなもので、教育にどのような影響があるのか?

オーセンティック評価は学生にとっても教員にとっても重要なものです。複雑な学習課題を通して、 学生は目標達成のためにさまざまなスキルと知識を活用することを求められます。学生が大学以外の場で遭遇するであろう、 現実世界の状況を模した課題であるため、現実感があります。また、学生の学びについてより正確に把握できるため、教員は指導を改善し、 学生は授業や職場、実生活で求められるスキルを身につけることができるのです。